平成21年 8月 2日(日):初稿 |
○ボス弁従業員型イソ弁形態の考察を続けます。 日本の法律事務所では、イソ弁は弁護士として育てて独立させて送り出すものと言う感覚があり、育てるためには個人事件を自由に持たせて、イソ弁個人のための顧客開拓と法律事務処理訓練をさせる必要があると考えられ、個人事件が全く出来ないボス弁従業員型イソ弁形態は殆どありませんでした。 イソ弁個人の事件は原則として出来ないとしても国選刑事事件或いは法律扶助事件だけは出来るという事務所が殆どであり、国選刑事事件、法律扶助事件全て事務所の事件とする厳格なボス弁従業員型イソ弁形態は殆ど見られませんでした。 ○ところが、「イソ弁(勤務弁護士)自身の事件」、「イソ弁(勤務弁護士)に営業させる発想」で紹介したように国選刑事事件、法律扶助事件全て事務所の事件とする厳格なボス弁従業員型イソ弁形態も登場し、弁護士が益々増え続ける今後は、このような厳格なボス弁従業員型イソ弁形態も増えてくる可能性もあります。 ○イソ弁個人の事件が全く出来ないボス弁従業員型イソ弁形態の中には、兎に角、ボス弁から配点される事件だけを行い、国選刑事事件、法律扶助事件等他の一切の事件をしてはならないと言うタイプと、前述の「イソ弁(勤務弁護士)に営業させる発想」で紹介した事務所のようにイソ弁自身がいわば営業をして事件を獲得して事務所の事件として扱わせるタイプに2種に分かれます。前者は、ボス弁の仕事が多すぎてこれを処理するだけで手一杯の事務所であり、後者はイソ弁を更に業務拡張・顧客開拓のために利用する事務所です。 ○イソ弁の立場からすれば、どうせイソ弁個人の事件が出来ないのであれば、ボス弁から配点される事件だけをやっていればよいタイプの方が、営業してボス弁のための顧客開拓・業務拡張の活動までさせられるタイプよりは楽と思われます。しかし、これだけ弁護士数が増えて、競争が一層激化する今後は、前者のような贅沢な事務所は減る一方で、後者のタイプが増えると思われます。 ○後者のタイプの場合、イソ弁を長く勤務させるためには、自分の事件を自由に持てるアソシエイト型イソ弁より充実した生活保障があることが必須であり、そのための経費増とアソシエイト型にするデメリットとの比較考量が必要です。アソシエイト型イソ弁は原則として自由に自分の事件が持てるため、時の経過によって自分の事件は熱心に取り組むも、事務所の事件は熱心に取り組まなくなるおそれがあります。 以上:1,012文字
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