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ご訪問有り難うございます。当HPは、私の備忘録を兼ねたブログ形式で「桐と自己満足」をキーワードに各種データを上記14の大分類>中分類>テーマ>の三層構造に分類整理して私の人生データベースを構築していくものです。
なお、出典を明示頂ければ、全データの転載もご自由で、転載の連絡も無用です。しかし、データ内容は独断と偏見に満ちており、正確性は担保致しません。データは、決して鵜呑みにすることなく、あくまで参考として利用されるよう、予め、お断り申し上げます。
また、恐縮ですが、データに関するご照会は、全て投稿フォームでお願い致します。電話・FAXによるご照会には、原則として、ご回答致しかねますのでご了承お願い申し上げます。
     

R 6-11-23(土):パコ・デ・ルシア氏演奏”Tico Tico”楽譜付動画紹介
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○ラテン音楽が好きですが、その中でパコ・デ・ルシア氏が演奏する「チコ・チコ」は、ボンゴのリズムに合わせて自然に身体が動き出す見事な演奏で、後半の急激に速度が上がる部分は、到底、同じように弾くことは不可能ですが、指の運動に練習だけはして見たいと思っていました。しかし、楽譜が入手できず、YouTube動画で鑑賞だけを楽しんでいました。

○ところが、たまたま楽譜付のYouTube動画を発見しましたので紹介します。「ティコ・ティコ Tico-Tico no Fubá」では、「レイ・コニフ・シンガーズのレパートリーとして世界的に有名 『ティコ・ティコ・ノ・フバー』(Tico-Tico no Fubá)は、1917年に作曲されたブラジルのポピュラー音楽(ショーロ Choro)。単に『Tico Tico(ティコ・ティコ/チコ・チコ)』とも表記される。」と解説されています。

Tico Tico - Paco de Lucía feat - Tablatura por Jesús Amaya...


[TAB] Paco de Lucía - Tico Tico


○その他、パコ・デ・ルシア氏の演奏動画です。

Paco de Lucia - Tico , Tico - 1967


Paco De Lucia - Tico Tico (Complete Video)


○パコ・デ・ルシア氏以外の「チコ チコ」演奏動画です。

Tico Tico no Fubá - Zequinha de Abreu


Ney Matogrosso - Tico-tico no fubá


以上:668文字
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R 6-11-22(金):相続回復請求権消滅時効完成前の時効取得を認めた最高裁判決紹介
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○相続回復請求の相手方である表見相続人は、真正相続人の有する相続回復請求権の消滅時効が完成する前であっても、当該真正相続人が相続した財産の所有権を時効により取得することができるとされた令和6年3月19日最高裁判決(判タ1523号93頁)全文を紹介します。

関連民法条文は以下の通りです。
第884条(相続回復請求権)
 相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から20年を経過したときも、同様とする。
第162条(所有権の取得時効)
 20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
2 10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。


○事案の概要は、X(被上告人)が,Y1(包括受遺者)並びにY2及びY3(Y2及びY3は遺言執行者)に対し,原判決別紙物件目録記載の土地建物(以下「本件不動産」という。)について,YらのXに対するY1及びA(包括受遺者)への持分移転登記請求権が存在しないことの確認等を求めたものです。事実経緯はいかのとおりです。
・h13.4、Bは、養子Xと甥Y1,Aに遺産を等しく分与する遺言
・h16.2.13、B死去遺産は本件不動産、法定相続人はXのみ
・Xは、h16.2.14以降所有の意思をもって本件不動産占有、Xは占有の始め、本件遺言の存在を知らず、本件不動産を単独で所有すると信じ,これを信ずるにつき過失がなかった
・h16.3、Xは本件不動産をX単独名義に相続登記
・h31.1、Y2・Y3が本件遺言の遺言執行者に選任
・h31.2、XはYらとAに本件不動産についてのY1・A持分について取得時効を援用する意思表示


○Xが,Y1・Aの有する民法884条所定の相続回復請求権の消滅時効が完成する前であっても,Y1・Aが包括遺贈を受けた財産の所有権を時効により取得することができるかどうかが問題となり、最高裁判決は、取得時効の完成を認めました。

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主   文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。 
 
理   由
 上告人らの上告受理申立て理由(ただし、排除された部分を除く。)について
1 本件は、被上告人が、上告人らに対し、原判決別紙物件目録記載の土地建物(以下「本件不動産」という。)について、上告人らの被上告人に対する上告人Y1及び原審控訴人Aへの持分移転登記請求権が存在しないことの確認等を求める事案である。

2 原審の適法に確定した事実関係等の概要は、次のとおりである。
(1) Bは、平成13年4月、甥である上告人Y1及びA並びに養子である被上告人に遺産を等しく分与する旨の自筆証書遺言(以下「本件遺言」という。)をした。
(2) Bは、本件不動産を所有していたが、平成16年2月13日に死亡した。Bの法定相続人は、被上告人のみである。

(3) 被上告人は、平成16年2月14日以降、所有の意思をもって、本件不動産を占有している。被上告人は、同日当時、本件遺言の存在を知らず、本件不動産を単独で所有すると信じ、これを信ずるにつき過失がなかった。
(4) 被上告人は、平成16年3月、本件不動産につき、被上告人単独名義の相続を原因とする所有権移転登記をした。

(5) 上告人Y2及び同Y3は、平成31年1月、東京家庭裁判所により、本件遺言の遺言執行者に選任された。
(6) 被上告人は、平成31年2月、上告人ら及びAに対し、本件不動産に係る上告人Y1及びAの各共有持分権につき、取得時効を援用する旨の意思表示をした。

3 所論は、上告人Y1及びAの有する民法884条所定の相続回復請求権の消滅時効が完成していないところ、相続回復請求の相手方である被上告人は、上記消滅時効の完成前に上記各共有持分権を時効により取得することはできないというべきであるのに、被上告人による時効取得を認めた原審の判断には、法令の解釈適用の誤り及び判例違反があるというものである。

4 民法884条所定の相続回復請求権の消滅時効と同法162条所定の所有権の取得時効とは要件及び効果を異にする別個の制度であって、特別法と一般法の関係にあるとは解されない。また、民法その他の法令において、相続回復請求の相手方である表見相続人が、上記消滅時効が完成する前に、相続回復請求権を有する真正相続人の相続した財産の所有権を時効により取得することが妨げられる旨を定めた規定は存しない。

 そして、民法884条が相続回復請求権について消滅時効を定めた趣旨は、相続権の帰属及びこれに伴う法律関係を早期かつ終局的に確定させることにある(最高裁昭和48年(オ)第854号同53年12月20日大法廷判決・民集32巻9号1674頁参照)ところ、上記表見相続人が同法162条所定の時効取得の要件を満たしたにもかかわらず、真正相続人の有する相続回復請求権の消滅時効が完成していないことにより、当該真正相続人の相続した財産の所有権を時効により取得することが妨げられると解することは、上記の趣旨に整合しないものというべきである。

 以上によれば、上記表見相続人は、真正相続人の有する相続回復請求権の消滅時効が完成する前であっても、当該真正相続人が相続した財産の所有権を時効により取得することができるものと解するのが相当である。このことは、包括受遺者が相続回復請求権を有する場合であっても異なるものではない。したがって、被上告人は、本件不動産に係る上告人Y1及びAの各共有持分権を時効により取得することができる。

5 以上と同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。所論引用の判例のうち、各大審院判例(大審院明治44年(オ)第56号同年7月10日判決・民録17輯468頁、大審院昭和6年(オ)第2930号同7年2月9日判決・民集11巻3号192頁)は、昭和22年法律第222号による改正前の民法における家督相続制度を前提とする相続回復請求権に関するものであって、上記判断は、上記各大審院判例に抵触するものではない。また、その余の判例は、事案を異にし、本件に適切でない。論旨は採用することができない。
 なお、上告人Y1のその余の上告については、上告受理申立て理由が上告受理の決定において排除された。
 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 渡邉惠理子 裁判官 宇賀克也 裁判官 林道晴 裁判官 長嶺安政 裁判官 今崎幸彦) 
以上:2,769文字
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R 6-11-21(木):借地借家法上建物要件としての土地の定着性とは
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株式会社日本エフ・アール・ピー製作カプセル店舗が建物に該当するかどうかが争点となっている事案を取り扱っており、これが争点となった裁判例を探しているのですが、現時点では見当たりません。簡易なプレハブ建物が、借地借家法上の建物に該当するかどうかが争いになった事案の判決は存在し、プレハブ建物の具体的性状によって、肯定否定両説あるようです。

株式会社日本エフ・アール・ピー商品説明HPでのFRPの特徴によると、その特徴は「手間とムダを思いっきり省いたカプセルタイプの多目的店舗」、「設置を気にしない2.9坪と1.7坪の主として2タイプ(キャスター付きもあります)。建築許可申請の必要のないサイズで、設置、移動も簡単」、「超軽量のFRP製だから、ユニック車一台で移動も自在。設置も大規模な基礎工事など一切不要(キャスター付きもあり)」と設置・移動の簡便性を強調しています。

○このようなカプセル店舗は、土地に定着性がなく、借地借家法上の建物ではないと思われますが、残念ながらそれを判断した裁判例はありません。以下、建物の土地の定着性について論じた昭和47年12月1日東京地裁判決(判タ298号389頁)理由部分を紹介します。

なお、平成5年9月22日神戸地裁判決(判タ858号162頁)でも、「土地およびその定着物は不動産とされ(民法86条1項)、その他の物はすべて動産とされている(同条2項)ところ、土地の定着物とは、土地に付着せしめられ、かつその土地に永続的に付着せしめられた状態において使用されることがその物の取引上の性質であるものをいう(最高裁昭和37年3月29日第一小法廷判決民集16巻3号643頁参照)と解するのが相当であり、建物とは、屋根および周壁又はこれに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供しうる状態にあるものをいう(不動産登記法14条、不動産登記事務取扱手続準則136条参照)とされている。」としています。

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判決理由
 ところで、動産とは土地およびその定着物(すなわち不動産)以外の物をいう(民法86条)から、本件物件が土地の定着物でないとされて初めて動産であると認められることになる。そして、土地の定着物とは、土地の構成部分でないが土地に附着せしめられ、かつ社会観念上その土地に恒久的又は相当期間継続的に附着せしめられた状態において使用されることがその物の取引上の性質であると認められるものをいうと解するのが相当であるから、仮設的、臨時的に土地に附着され、容易に移転し得る仮小屋等は定着物とはいえないと考えられる。

 前記認定によれば,本件物件は工事現場に工事従業員の便益のため建てられた合宿所いわゆる飯場建物というべく、その性質上予定工事終了のあかつきは解体され、右現場より撤去されることが予定されていることが推認されるから、恒久的存続を予定して建てられる通常の建物とは、この点において異なることは争えないところである。しかし、形体上、構造上は通常の建物と何ら変りなく(ただし組立、解体の容易なプレハブ住宅である)、堅牢性、耐久性もあり、人の居住に十分耐え得、現に宿舎として利用していたものであることは前記のとおりであり、その基礎が恒久的存続を予定される建物に比し簡易であることは否めないにしても、土地に相当期間継続的に附着され、使用される予定のもとに構築されたものであることは、前記認定事実より推認することができる。

 以上のような諸点をあわせ考えると、本件物件は土地の定着物すなわち不動産と認めるのが相当である(なお、飯場は性質上取引の対象とはしないから、登記までもしないのが通常であるが、飯場なるが故に登記が許されないとはいえない。土地の定着物と認められる以上は登記も可能と解される。)から、右物件が動産であることを前提とする被告の抗弁は、その余の点について判断するまでもなく失当である。
(早井博昭)

以上:1,666文字
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R 6-11-20(水):令和6年KSS42第8回定期総会開催報告
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以上:21文字
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R 6-11-19(火):被告宅への宿泊事実を認めながら不貞行為を否認した地裁判決紹介
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○「不貞行為第三者慰謝料80万円・150万円の2件地裁判決紹介」の続きで、フィリピン国籍を有する妻が、夫Cとの不貞行為を理由に慰謝料300万円の支払を求める訴えを提起し、これを棄却した令和5年8月15日東京地裁判決(LEX/DB)全文を紹介します。宿泊事実を認めながら不貞行為を否認して慰謝料請求を棄却した判例は「ホテルへ行ったが一線は越えていないとの言い訳が通用した判例紹介」、「多数回ラブホテルに滞在するも不貞行為を否認した地裁判決紹介」等でも紹介しています。

○事案は、被告は原告の夫Cの元妻で、被告とCは、遅くとも令和2年11月21日から翌22日にわたり、被告の居住するアパート内において不貞行為に及び、その後も不貞関係を継続したとして慰謝料300万円に調査費用等合計約367万円の支払を請求し、被告はCが被告アパートに宿泊した事実は認めるも不貞行為は一切ないと主張したものです。

○判決は、Cと被告は元夫婦であり、長女の親という関係にあることからすれば、男女関係になくとも、同宿することは十分考えられ、その内容に特段不自然・不合理な点はないとして、原告の請求を全て棄却しました。

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主   文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求

 被告は、原告に対し、367万0302円及びこれに対する令和2年11月22日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
 本件は,C(以下「C」という。)の妻である原告が,被告がCと不貞行為を行ったと主張して,被告に対し,不法行為に基づく損害賠償請求として,367万0302円及びこれに対する不法行為の日である令和2年11月22日から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

1 前提事実(後掲各証拠若しくは弁論の全趣旨により容易に認定できる。)
(1)原告は、フィリピン共和国の国籍を有し、日本国において永住者の在留資格に基づき在留する者である。(甲1)

(2)被告は、昭和63年、Cと婚姻したが、平成6年3月3日、調停離婚した。当該調停離婚において、長女D(以下「長女」という。)の親権者は被告と定められ、Cは、長女の養育費として、平成6年3月から同人が満20歳に達する月まで月額6万円を支払うこと、Cは、被告に対し、解決金として600万円の支払義務を負い、これを平成6年3月から平成16年2月まで、毎月末日限り5万円を支払うことなどが定められた。しかしながら、Cは、被告に対し、長女の養育費や解決金をほとんど支払うことができなかった。(乙1、2、4、弁論の全趣旨)

(3)原告は、平成9年6月5日、Cと婚姻した。原告とCは、平成8年○○月○○日に長男を、平成12年○月○○日に二男をもうけた。(甲3)

(4)被告とCは、離婚後、ほとんど連絡をとっていなかった。被告は、令和2年頃、引越しをしなければならない事情があったが、金銭的に困窮しており困っていたところ、新聞で偶然Cの名前を見たのをきっかけに、Cに連絡をとり、引越しの件について相談した。Cは、被告の相談に応じ、被告が住むためのアパートを自身の名義で借り、その家賃を負担したりしたほか、金銭を交付するなど、経済的な支援を行った。Cの実家は、長野県安曇野市にあり、Cが実家に帰る際は、被告のアパートで飲食したり、泊まったりすることがある。(甲5、乙2、4、弁論の全趣旨)

(5)原告は、令和2年4月、自宅を出てCと別居を開始した。(甲19、乙2、弁論の全趣旨)

2 争点
(1)不貞行為の有無
(2)損害額

3 争点に関する当事者の主張
(1)争点(1)(不貞行為の有無)について
(原告の主張)
 被告とCは、遅くとも令和2年11月21日から翌22日にわたり、被告の居住するアパート内において不貞行為に及び、その後も不貞関係を継続した。被告は、原告とCが婚姻関係にあることを知っていたから、故意がある。

(被告の主張)
 Cが、被告の自宅に泊まったことはあるが、被告とCは、元夫婦であり、長女の両親という関係にはあるが、不貞関係は一切ない。

(2)争点(2)(損害額)について
(原告の主張)
ア 慰謝料 300万円
イ 治療費等 2万6108円
ウ 調査費用 31万0530円
エ 弁護士費用 33万3664円
オ 計 367万0302円

(被告の主張)
 争う。

第3 当裁判所の判断
1 争点(1)(不貞行為の有無)について
 原告は、被告とCは、遅くとも令和2年11月21日から翌22日まで不貞行為に及び、その後も不貞関係を継続した旨主張する。
 証拠(甲7、9の1~9の5、10、20~24の2、乙2、4)及び弁論の全趣旨によれば、被告とCは、令和2年11月21日、被告のアパートに泊まり、翌22日、一緒にスーパーマーケットに出かけるなどしたこと、Cは、その後も複数回、被告のアパートに赴いたことなどが認められる。

しかしながら、被告とCは、肉体関係や恋愛関係にあったことを明確に否定する陳述をしており,同宿をした事情等について、Cは、長野県安曇野市の実家に母を訪ねる際に、それまでは、母が、自身の食事や寝床の準備で気を遣うことやコロナ禍において県外ナンバーの車を実家に停めることを気にすることから、実家から離れたところに車中泊することがあったが、その話を聞いた被告から、被告のアパートで食事と宿泊をするように言ってもらえたから、それ以降、被告のアパートに宿泊させてもらうことがあった旨陳述し、被告も、Cから、実家の母に会う際に、コロナが蔓延し始めてからは、実家に県外ナンバーの車を長時間停めておくこともはばかられ、車中泊をしていることを聞き、引越しの件でCに恩義も感じていたことやCと長女との関係も良くなっていたことから、被告のアパートにCを泊めるようになり、その際は食事も出していた旨陳述している(乙2、4)。

Cと被告の陳述は、概ね一致しているほか、Cと被告は元夫婦であり、長女の親という関係にあることからすれば、男女関係になくとも、同宿することは十分考えられ、その内容に特段不自然・不合理な点はない。

また、前記前提事実のとおり、Cは、被告に対し、金銭を交付したり、被告のアパートを自分名義で借り、家賃を立替えて支払うなど、経済的援助をしていたことが認められるが、この点について、Cは、被告との離婚時に合意した養育費や解決金をほとんど支払えておらず、被告から連絡を受け、長女とも連絡をとるようになったことをきっかけに、これまで被告と長女に何もしてやれなかったことを悔い、なるべく力になりたいと思った旨陳述しているところ(乙2)、前述したとおり、Cと被告は元夫婦であり、長女の親という関係にあることに照らせば、Cの上記行動は、離婚した妻や子への義務を果たせてこなかった者として、あながち不自然・不合理であるともいえない。

そうすると、原告の指摘する上記各事実等をもってしても、被告とCが不貞関係又はこれに準ずる交際関係にあったとは認められず、他に、これを認めるに足りる証拠もない。


2 結論
 以上によれば、その余について検討するまでもなく、原告の請求は理由がないから、これを棄却することとし、主文のとおり判決する。 
東京地方裁判所民事第37部 裁判官 味元厚二郎

以上:3,037文字
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R 6-11-18(月):”登米市トルティージャ主宰小さな村のコンサート”鑑賞
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以上:21文字
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R 6-11-17(日):2024年11月16日発行第377号”弁護士のリア王”
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○横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの令和6年11月16日発行第377号「弁護士のリア王」をお届けします。

○シェイクスピアと言えば「ロミオとジュリエット」、「ハムレット」、「オセロー」、「リア王」、「マクベス」等有名作品です。教養深い大山先生は、いずれも丹念に読んで深く考察されていると思われますが、私は作品の名前を知っているだけで映画になったものを観た記憶はあっても、いずれも原作を読んだ記憶はありません(^^;)。

○「リア王」と言うと黒澤明監督作品映画「乱」の原作になったことは知っていましたが、この原作の内容は知らず、今回のニュースレターで勉強になりました。リア王を原作とした映画「乱」は、DVDで鑑賞した記憶はありますが、余り印象に残っていません。4KUHD版は発売されておらず、黒澤作品のなかで余り評価されていないのではと思っていました。しかし4KUHD版を購入して鑑賞した私にとっては駄作の映画「影武者」よりズッと面白いとの評価もあり、「乱4KMasterBlu-rayBOX版」が発売されていましたので、購入して鑑賞します。

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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

弁護士のリア王

シェイクスピアの傑作悲劇として名高いリア王です。リアの長女と次女は、自国イギリスの公爵と結婚しています。王が一番可愛がっている三女には、公爵とフランス王が求婚に来ています。そんな中、年老いたリア王は引退して国を3つに分けて、娘たちに譲ろうとします。リア王が、国を譲って権力をなくすことから悲劇が始まるんです。そんなわけでリア王に関しては、「引退して国を譲る行為自体が間違っている」といった論評が多くあるようです。でもそんなこと言ったら、いつまでたっても老人が支配する世の中で、世代交代などできません。潔く引退しようというリア王の行為自体は、もっと評価されるべきだと思うのです。

しかし、普通に譲ればいいものを、3人の娘それぞれに、「自分をどれだけ愛しているのか?」を発表させ、それによって何を譲るのかを決めると言い出します。こういうくだらないことをするのが、まさに「老害」の特色ですね。姉二人は、「お父様を自分の目や耳より、何よりも愛します」なんて言って、リア王を喜ばせる。一方三女は、「言うことはありません。娘の義務として父を愛します」なんてことを言い出して、リア王を激怒させます。この出来事に関してリア王は、「姉二人の甘言に騙される一方、三女の真心が理解できない愚かな王様」と非難されています。でも、姉二人の言葉ですが、このくらいのおべんちゃら、誰でも言いますね。会社勤めのときなど、私も上司に似たようなこと言っていました。ううう。。。

自分がボスになった現在では、事務所の若手弁護士に「このニュースレターどうだった?」と、感想を求めたりします。「メチャクチャ面白くて勉強になりました!」と言われたら嬉しくなる一方、「何も言うことはありません。勤務弁護士の義務として読みました」なんて言われたら、「け、喧嘩売っているのか!」と腹が立ちそうです。三女の言葉に激怒したリア王は、国など一切譲らず、親子の縁を切るとまで言い出します。これを聞いて、二人の求婚者のうち公爵は去っていく一方、フランス王は三女の真心に感動して、持参金など無くても結婚すると言い出します。

この後、1週間ほどの間に一気に話が進みます。国を譲られた長女と次女は結託して、即座にリア王を嵐の荒野に追い出します。娘の裏切りにあったリア王は狂っていく。それに対して、三女と結婚したフランス王は、リア王を助けるために軍を率いてやってくる。しかし最終的に、リア王も3人の娘たちも全員死んでしまうという悲劇なんです。「リア王」はシェイクスピアの大傑作と言われてますが、なんかよく分からない話なんですね。謎が多すぎます。なんだって三女は、わざわざ父親を怒らせるようなことを言ったのか不思議です。追放されたリア王を助けたい気持ちは分かりますが、軍を率いてくる必要があったのかも疑問です。そもそも、軍隊なんてそんなにすぐに出せないから、予め準備していたとしか思えない。何か裏がありそうです。

「真実は常に一つ」ということで、果敢に推理しちゃいます! そもそもリア王は、三女の結婚相手として公爵を予定しており、フランス王は当て馬に過ぎなかったと思います。フランス王と結婚させたら、領土がフランスに統合されてしまう。さらに三女がフランスに行ってしまえば、自分の老後を面倒見てもらうという計画もダメになる。一方、自分が当て馬だと気が付いたフランス王は、三女と共謀して、わざとリア王を怒らせたんでしょう。これによって本命の公爵は身を引いた。三女と結婚したフランス王はかねてからの計画通り、「三女の権利確保」とか「老王保護」を名目に軍事行動を起こしたんです。と、こんな具合に妄想しちゃいますが、こういうこと弁護士の仕事でもよくあります。警察検察が作ったストーリーの矛盾を見つけ出して、被告人の為の新しい話を作り上げていきます。実際、法廷で「真犯人」を名指しした弁護士もいました。す、凄すぎる。。。

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◇ 弁護士より一言

私は、妻がいなくなると、ついつい煎餅を食べたりお酒を飲んだりしてしまいます。たまに、いないと思っていた妻に見つかり、呆れられます。「本当に油断ならない!」と妻が言ったら、娘が私をかばってくれました。「でも、そういうことするのパパだけじゃないよ。ワンちゃんだって、飼主がいなくなると好き勝手するんだって!」 い、犬と比べないでくれ。。。

以上:2,409文字
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R 6-11-16(土):不貞行為第三者慰謝料80万円・150万円の2件地裁判決紹介
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○「国民民主党代表不倫騒動雑感-”それがどうした”と言えない日本」で、フランスでは大統領が不貞行為をしてもお咎めはなく、何十人と愛人を有し、葬儀の際は、愛人たちの席順を決めていたことが報じられ、さらに人気が急上昇したとの記事を紹介しました。このような国柄では、不貞行為についてその相手方に損害賠償請求をするなんて考えもないはずです。

○これに対し日本は、不貞行為には大変厳しい評価がなされて、配偶者からの他方配偶者との不貞行為相手方に対する損害賠償請求をするのが当然と考えられています。特に東京地裁にはこの損害賠償請求訴訟が常時継続していると思われます。TKCローライブラリー新着判例コーナー2024年11月14日収録版にも東京地裁での不貞行為損害賠償請求事件判例2件が紹介されています。いずれも平成21年結婚した夫婦の配偶者と不貞行為をした相手に対する損害賠償請求で、いずれも慰謝料請求額は300万円でした。

○令和5年10月13日東京地裁判決(A判決)と、令和5年10月23日東京地裁判決(B判決)の2件で、認められた慰謝料額はA判決が80万円、B判決が150万円でした。認定された不貞期間は、A判決は令和元年10月から同年12月頃までの間に複数回と認定され、B判決では遅くても令和2年9月頃から始まり、判決時まで継続しているようです

○A判決とB判決の一番の違いは、A判決では原告は、被告とCとの不貞関係により、強い精神的苦痛を受けたものと認められるが、上記不貞関係により、原告とCとの婚姻関係に大きな変化が生じたとはうかがわれないと認定され、B判決では、不貞行為を契機に婚姻関係が破綻して離婚協議中であるとされている点です。不貞行為を原因としてA判決では婚姻関係に大きな変化がないところ、B判決では婚姻完全破綻に追い込まれた点から、慰謝料認定額に2倍近い差がでました。B判決では、代理人もつけず被告は答弁書を提出しただけで、強く争っていなかった点も異なります。

○A判決は、不貞期間3ヵ月、回数は複数回で、婚姻関係に大きな変化がないとの認定で80万円もの慰謝料を認定するのは、ちと厳しいと感じますが、不貞行為に厳しい日本の風潮からはやむを得ないとも思われます。不貞行為第三者に慰謝料請求を認める制度を未だに採用しているのは、先進諸国では日本だけとされているところ、交通事故損害賠償請求事件が縮小傾向で、不貞行為慰謝料請求事件が弁護士業務の重要分野となっているのが痛し痒しです。

以上:1,033文字
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R 6-11-15(金):RU令和6年6月例会-鈴屋金物(株)四代目社長鈴木大輔氏講演に感激
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恐れ入りますが、本ページは、会員限定です。

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R 6-11-14(木):国民民主党代表不倫騒動雑感-”それがどうした”と言えない日本
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○「広末涼子氏不倫騒動雑感-夫婦関係維持は本人意思に尽きると思うのですが」に有名女優広末涼子氏の不倫問題が大騒ぎになっていたとき「日本では、令和時代になっても、特に有名人になるほど、不倫に対するバッシングの嵐は凄まじく、この風潮は、当分、治まることは無いと思われます。」と記載していました。

○令和6年11月11日に元グラドルとの不倫疑惑が週刊誌報道され、その日の内に不倫の事実を認めて謝罪会見を行い、火消しを計ろうとした国民民主党代表玉木雄一郎氏ですが、「不倫に対するバッシングの嵐」は、収まるどころか、益々高まると思われ、以下の「国民・玉木雄一郎が永田町で嘲笑のマト 〝103万円の壁〟撤廃メドで代表辞任か」の記事のとおり、国民民主党代表の地位に留まることはできないでしょう。

○私としては、フランスのミッテラン元大統領のように「それがどうした!」と堂々と開き直りの気概をもって、なんとか留まって貰いたいところです。勿論、「それがどうした!」と口に出すと議員辞職まで追い詰められるでしょうから、口に出すのは絶対ダメですが。

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Column de saison「ミッテラン元大統領の ’Et alors ?’」
少し前、政治家の不倫が連日ワイドショーをにぎわせていましたが、特に女性政治家に対するバッシングはすさまじく、次の選挙戦で候補者たちが「不倫は絶対にしません!絶対に許しません!」と叫ばざるをえないような勢いでした。

このような光景を目にすると、いつもミッテラン元大統領の ’Et alors ?’ 発言を思い出します。愛人の存在について記者から質問をされたとき「エ・アロール(それがどうした?)」と答え、記者は何も言えなくなったのでした。彼が亡くなって20年経った去年、公然の愛人だったアンヌ・パンジョが、1962年から1995年9月までのあいだに受け取ったラブレター1218通をまとめた『アンヌへの手紙』(ガリマール社、写真↓)を出版しました。49歳のミッテランが恋に落ちたとき、アンヌはまだ19歳でした。

またミッテラン大統領はさらに何十人もの愛人がいて、亡くなったあと、彼が葬儀における愛人たちの席順を決めていたことが報じられ、さらに人気が急上昇したと言います。まるでもてない男が嫉妬に駆られるように不倫問題を叩く日本とは逆に、むしろ女性にもてて女性を幸せにする甲斐性のある男が支持され、大統領になる国がフランスです。また フランス人が不倫に寛容なのは自他のプライバシーを尊重する国民性だからというよりも、自身の恋愛に忙しく(他人の不倫に目くじらを立てている暇はない)、それだからこそ、自分もまた叩けば埃の出る身であり、お互いさまと言うことなのでしょう。

ヨーロッパで言う市民道徳はパブリックな場における道徳で、個人のプライベートに介入するものではありません。不倫に対して良い感情は持たないにしても、それが市民道徳に反するとは言ませんし、基本的に政治倫理や政治家としての資質とは無関係です。日本のように民主的に選ばれた議員が不倫問題で辞めさせられるのはフランスではまさに「公私混同」で、ありえないことなのです。


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「国民・玉木雄一郎が永田町で嘲笑のマト 〝103万円の壁〟撤廃メドで代表辞任か」
東スポWEB によるストーリー • 21 時間


元グラドルの小泉みゆきとの不倫騒動で謝罪した国民民主党の玉木雄一郎代表が針のムシロだ。

不倫報道が出ての謝罪劇から一夜明けた12日の定例会見でも集中砲火を浴びた。冒頭、司会者は「プライベートに関する件については昨日お話しさせていただいたので、代表としての会見を踏まえたうえでの質問を」とお願いしたのもむなしく、初っぱなから謝罪会見で想定問答の紙を持っていたことや、過去の不倫騒動で議員辞職した宮沢博行氏や宮崎謙介氏らを玉木氏が厳しく批判していたことを引き合いに「自身から辞職しないのか」と追及された。

また、党倫理規則で定められている「党の名誉及び信頼を傷つける行為・言動」に該当しないのかと突っ込まれ、「妻子ある身で、他の女性に心を寄せたということは倫理的には当然認められないことだと認識しています」と認め、倫理委員会の裁定を待つとした。

永田町では玉木氏へのイジりも始まっている。「玉木」の名前を騒動と関連付けたようなあだ名で揶揄され、「議員の間でも『やらかしちゃったな~』『大丈夫かな~』と笑われています」とは永田町関係者だ。

不倫擁護派のNHK党の斉藤健一郎参院議員はXに「政治家は聖人君子でもないし、ましてや代表や政治家やめる必要もない。玉木さん頑張ってください!!! 浮気!玉木!元気!くらい言ってやってください!」とエールを送ったが、もはや玉木氏本人は笑っていられない。

代表続投となった玉木氏だが、永田町では代表辞任は時間の問題と見る向きが大勢だ。

「国民民主党は〝玉木独裁党〟ともいえるが、さすがにこのまま代表がバカにされ続けては議員や党員が黙っていない。来年は参院選も控えているので、103万円の壁撤廃に一定のメドがつけばお役御免になるでしょう」(前同)

「『不道徳であっても政治家としてしっかり働いてくれればいい』とか『玉木も人間だったのね』などのコメントで玉木雄一郎を甘やかさないで下さい」と唯一、苦言を呈した同党の伊藤孝恵参院議員は4年前の代表選で玉木氏に挑んだ身だ。

玉木氏は、いつまで代表に居座り続けるのか。
以上:2,317文字
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R 6-11-13(水):遺留分放棄許可申立て手続代理人弁護士への損害賠償請求事件地裁判決紹介2
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○「遺留分放棄許可申立て手続代理人弁護士への損害賠償請求事件地裁判決紹介1」の続きで、判決概要を説明します。
原告は、被告弁護士に被相続人亡Cの遺産について遺留分放棄申立手続を依頼し、放棄許可審判を受けましたが、
〔1〕原告と利益相反関係にある亡Cの相続に関する相談を受けていたことを原告に説明しなかった、
〔2〕亡Cの財産の調査義務を懈怠した、
〔3〕原告が亡Cから受領した3000万円では原告の遺留分には全く及ばない事実を認識していたのにこれを原告に説明しなかった
として、亡C財産は約5億1885万円あり、その遺留分相当額は約9147万円あるところ、生前贈与3000万円だけで遺留分放棄許可され、その差額6147万円の損害を受けたとして、善管注意義務違反ないし注意義務違反を理由に、損害内金1000万円の賠償請求をしたものです。

○これに対し、判決は原告の請求を全部棄却しましたが、その理由概要を以下の通りです。
〔1〕原告と利益相反関係にある亡Cの相続に関する相談を受けていたことを原告に説明しなかったとの主張については、事前に原告と亡C間に遺留分放棄合意が成立しており、被告は原告に対し、亡Cから相続に関する相談を受けていたことなどに関しても説明していたもので、原告もそのことを理解していたので義務違反はない

〔2〕亡Cの財産の調査義務を懈怠したとの主張については、被告が、原告に示した亡Cから送付されて本件財産大要(甲5)には、その内容に疑問を生じさせる事情があったことを認められず、本件財産大要に基づいて亡Cの財産に関する説明を行うことに問題があったとは認め難く、本件財産大要は、あくまでも亡Cの財産の大要で、亡Cの財産が本件財産大要に記載されているものが全てであるかのような説明を行っていないので、その義務違反はない

〔3〕原告が亡Cから受領した3000万円では原告の遺留分には全く及ばない事実を認識していたのにこれを原告に説明しなかったとの主張については、本件委任契約は、原告と亡C間の遺留分放棄合意を実現する手続であり、被告が、本件委任契約上、原告に対し、亡C所有の不動産価格を調査すべき義務があったとは直ちには認め難く、被告に、不動産価格を調査するなどし、亡Cの財産の総額を算定した上で、亡Cが原告に3000万円を生前贈与したとしても、同金額では、原告の遺留分には全く及ばないことを説明すべき義務があったとも直ちには認め難いとして義務違反はない

○結論としては妥当と思われますが、弁護士としては、このような訴えを出されること自体大変な不名誉であり、また、大変な労力負担が生じます。遺留分放棄手続を依頼された場合、本件のような損害賠償請求を出される可能性もあることを考慮して、被相続人と推定相続人の利益相反行為になること、被相続人財産調査には限界があること、遺留分放棄の合理的理由があることの3点について、シッカリ確認する書面を取っておくべきと痛感しました。
以上:1,226文字
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R 6-11-12(火):遺留分放棄許可申立て手続代理人弁護士への損害賠償請求事件地裁判決紹介1
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○相続開始前の遺留分放棄許可申立ての手続代理人となった弁護士に対し、依頼者が、弁護士の説明義務違反及び被相続人の財産調査義務違反があったため約6147万円の損害を蒙ったとして、債務不履行責任及び不法行為責任があるとして内金1000万円の損害賠償請求をした令和5年1月13日東京地裁判決(判時2601号83頁)を2回に分けて紹介します。この訴訟の結論は請求棄却ですが、弁護士としては遺留分放棄申立を依頼された場合、注意すべき点が明示されており、大変参考になる判決だからです。

○事案概要は、原告が、原告の実父Cの相続財産に対する相続開始前の遺留分放棄の申立手続について、被告弁護士との間で委任契約を締結し、遺留分放棄申立をしてその許可審判を得たたところ、被告が、原告の手続代理人として本件申立手続を行うに当たり、
〔1〕原告と利益相反関係にある亡Cの相続に関する相談を受けていたことを原告に説明しなかった、
〔2〕亡Cの財産の調査義務を懈怠した、
〔3〕原告が亡Cから受領した3000万円では原告の遺留分には全く及ばない事実を認識していたのにこれを原告に説明しなかった
として、善管注意義務違反ないし注意義務違反があったとして、被告に対し、選択的に債務不履行(民法415条)又は不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求として、合計6147万6547円のうち一部請求として1000万円したものです。

○原告は、被告弁護士には、亡C生前に同人から相続に関する相談を受けており、亡Cは、原告が亡Cの相続財産に対する遺留分を放棄することにより、自由に処分できる遺産の範囲が拡大する利益を有することから、原告と利益が相反する立場にあるのにこれを怠ったので、利益相反に関する説明義務違反があると主張しました。遺留分放棄の申立は、相続後の争いを一切なくすために、事実上、被相続人から依頼される場合が多く、被相続人と推定相続人が共同で依頼することが多くあります。

○遺留分放棄申立は民法第1049条で「相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。」としか規定されていませんが、その許可を得るためには、生前に遺留分相当額の財産が申立人に与えられているなど合理的な理由があることが要件になっています。従って申立書にはその合理的理由を主張し、且つ、立証して行う必要があります。この合理的理由は、被相続人と推定相続人との間で正に利益相反関係になります。

○ですから事実上被相続人と推定相続人の共同で遺留分放棄申立をする場合は、その利益相反について説明し、納得の上で依頼することの確認を取る必要があります。これまで何件か遺留分放棄申立事件の依頼を受けていますが、利益相反行為説明及び確認の書面を取ったことはなく、ヒヤッとしました。現在、遺留分放棄許可申立を被相続人から相談されている事案があり、推定相続人から依頼を受ける際は、説明及び確認書面を取るべきと痛感しました。

○原告は、さらに被告弁護士には、亡Cの財産調査義務を怠り、許可を得る合理的理由としての3000万円生前贈与だけでは遺留分相当額には到底及ばないことを認識していたのにこれを怠ったことを、債務不履行・不法行為の理由としています。原告の主張では亡C財産は約5億1885万円あり、その遺留分相当額は約9147万円あるところ、生前贈与3000万円だけで遺留分放棄許可されており、その差額6147万円の損害を受けたとしています。

○これが前記利益相反が実現し利害対立状況となったものです。被告弁護士には亡Cの全財産を調査する権限もなく正確な財産を把握することはできません。従って遺留分放棄申立を依頼されるに当たっては、亡Cの財産について、弁護士として把握した亡Cの申立当時財産額は、これだけでありこれを前提としての合理的理由による遺留分放棄申立を行うことに依頼者が納得の上で行うことの確認書面を取る必要があります。申立後に申立時の事情が変化し、遺留分放棄状態を維持することが客観的に不合理となった場合は、家裁は申立により遺留分放棄許可審判の取消・変更ができることも説明した方が良いでしょう(昭和58年9月5日東京高裁決定、判時1094号33頁)。

○最終的に被告弁護士への請求は棄却されましたが、ヒヤッとする訴訟であり、別コンテンツで紹介します。
以上:1,794文字
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