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損保会社側顧問医意見書は医師法第20条違反疑い

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平成18年12月28日(木):初稿
○交通事故訴訟等交通事故紛争で任意保険会社が提出する意見書とは、西川雅晴元弁護士(令和元年12.31に弁護士登録抹消)が、作成・運営されていた「交通事故電脳相談所」というHPでの「意見書問題を考える」によると次のように解説されていました。
被害者が加害者側損保を相手に示談、紛争処理センター、調停、訴訟をしますと、損保側から意見書が提出されます。意見書を作成するのは損保の顧問医、損保から委託された医師です。また、東京海上日動の場合は東京海上日動メディカルサービス㈱に所属する医師が作成します。

内容は100%被害者に不利なものです。例えば以下のような内容です。
・自賠責で後遺障害が認められているが後遺障害は存在しない
・自賠責で認められた等級よりも実際の等級は低い
・自賠責の等級は間違ってはいないが、労働能力喪失率は殆ど無い
・治療期間が長期化したのは心理的要因、加齢性の要因によるものであり、すべて事故によるものではない
等々です。


○この意見書の最大の問題点は、患者本人を診察しないで実質診断書を発行するものであり、医師法第20条に違反することであり、この規定趣旨は、診断書は専門家である医師作成の一定の法令上の効果もある重要な証明文書であるから患者本人を直接診察して慎重に作成すべしとするものです。

○これを保険会社主張を立証するために書類審査だけで安易に作成するのは言語道断と思うのですが、後遺障害等医学上の判断が争点となる訴訟では、被害者側主治医の診断書に対し保険会社がこれに反する意見書を出してくるのが常態で、保険会社側医師作成意見書に対する反論の診断を主治医に求めても争いに巻き込まれることを嫌って主治医が明確な判断をしてくれない場合も多く、弁護士泣かせの状態です。

○この意見書の問題点について西川雅晴元弁護士は、「日本医師会に医師の行為は「無診察による診断書の作成」に該当するので違法ではないかと平成17年4月に質問状を送付しております。しかしながら、現在(※平成18年12月)まで日本医師会からの回答がありません。」とのことであり、日弁連としても取り上げるべきと思っております。

○また交通事故で傷害を受けると被害者に対し保険会社側から医療記録閲覧承諾書提出を要請されますが、この時点で被害者はその個人情報閲覧の目的をあくまで保険金支払要件の吟味に限り保険会社顧問医による無診察意見書作成を禁止すべきと思います。

○西川雅晴元弁護士は、令和元年12月31日弁護士登録を抹消されたとのことで、現在は、「ロンググッドバイ」というブログを掲載されています。「癌を患い、長いお別れをします」との副題がついていますが、ガンを患われている方には参考になるブログです。また、弁護士引退を決意された69歳の平成30年7月18日から令和元年12月23日までのおよそ1年半の間、「重き荷を解き放ち坂を下る日々」との副題で「弁護士引退日記」も掲載されており、弁護士業務や人生についての深い考察も記述されており、引退を検討している弁護士に限らず、大変参考になる記事が多数掲載されており、私も読んで勉強させて頂きます(※令和4年2月10日記載)。
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