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平成17年 1月15日(土):初稿 平成17年 5月 7日(土):更新 |
⑥著作権に関する世界知的所有権機関条約(WIPO著作権条約) 著作権の国際的保護の基本となるベルヌ条約は、1971年に最終の改正が行わた(パリ改正条約)が、その後の情報技術の発展や社会状況の変化に対応するために必要な改正は、加盟国の全会一致を経なければならないため困難となっていた。 そこでこれを打開するため、同条約第20条の「特別の取極」として、ベルヌ条約が許与する権利よりも広い権利を著作者に与える「付属条約」を設け、各国がこれを批准することにより、情報技術等の発展に対応したより高いレベルの著作権保護を目指す方策がとられ、この「付属条約」が、1996年に採択された「著作権に関する世界知的所有権機関条約」(WIPO著作権条約)。 ⑦実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約(WIPO実演・レコード条約) 上記の通り、著作隣接権の国際的保護について実演家等保護条約(日本は1989年に加入)や、レコード保護条約(日本は1978年に加入)があったが、実演家等保護条約は1961年、レコード保護条約は1971年に作成され、近年の情報関連技術の進展には十分な対応ができなかった。 さらに実演家等保護条約にアメリカ合衆国が加入しないという状況もあって、1996年、ジュネーブで、実演家等保護条約とは別個の新しい条約として、WIPO実演・レコード条約(実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約)が作成された。 同条約は、内国民待遇の原則(第4条)と共に、実演家及びレコード製作者について ① 実演家人格権(第5条) ② 実演家の生実演に関する固定権、放送権、公衆への伝達権(第6条) ③ レコードに関する実演家・レコード製作者の、複製権(第7条、第11条))、頒布権(第8条、第12条))、貸与権(第9条、第13条))、公衆が利用可能な状態にする権利(第10条、第14条)、商業用レコードの放送・公衆への伝達に関する2次使用料請求権(第15条) ④ コピープロテクション等技術的保護手段回避に関する規制(第18条) ⑤ 権利管理情報の除去・改編等の規制(第19条) 等を規定している。 以上:883文字
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