平成18年10月23日(月):初稿 |
○事件処理の関係で宅地建物取引業者(宅建業者)と宅地建物取引主任者(宅建主任者)の責任を調査したので、その結果を私の備忘録として記載します。 先ず宅建業法第1条で「この法律は、宅地建物取引業を営む者について免許制度を実施し、その事業に対し必要な規制を行うことにより、その業務の適正な運営と宅地及び建物の取引の公正とを確保するとともに、宅地建物取引業の健全な発達を促進し、もつて購入者等の利益の保護と宅地及び建物の流通の円滑化とを図ることを目的とする。」と定められています。 ○この必要な規制の一環として宅地建物取引業法(宅建業法)第15条で「宅地建物取引業者は、その事務所その他国土交通省令で定める場所(以下この条及び第50条第1項において「事務所等」という。)ごとに、事務所等の規模、業務内容等を考慮して国土交通省令で定める数の成年者である専任の取引主任者(第22条の2第1項の宅地建物取引主任者証の交付を受けた者をいう。以下同じ。)を置かなければならない。」と定められています。 ○この宅地建物取引主任者設置制度は、高価で権利関係も面倒な不動産取引を扱う宅建業者に対し都道府県知事の行う試験に合格し不動産に関する専門知識を有する宅建主任者設置義務を課すもので、これにより知識の乏しい購入者が取引上の過誤によって損害を被ることを防止することを目的としています。 ○そのため宅建業者は常に取引に宅地建物取引主任者を関与させ、責任の所在を明らかにして、購入者から説明を求められたとき、何時でも適切な説明をなし得る態勢を整えさせ、公正な取引を成立させることにつとめなければなりません。 ○宅建業者は、宅地建物の売買、交換または賃貸借の契約が成立するまでの間に、取引の相手方に対し、一定の重要事項について、取引主任者による重要事項説明書の交付と説明となす義務があり(宅建業法第35条以下)、これが宅建取引主任者の最も重要な職務です。 ○この重要事項説明書の交付と説明に当たり、取引主任者が説明義務を果たさず、相手方に損害を与えたときは、単に宅建業者のみでなく取引主任者個人も共同不法行為者として損害賠償の責任を負います。この場合、取引主任者の説明義務違反行為は「取引主任者として行う事務に関し不正又は著しく不当な行為」(宅建業法第68条1項3号)に当たり違法行為だからです。 ○この説明方法は単なる内容の朗読だけでなく、相手が理解する程度の説明が必要であり、相手が誤解していることを知りながら更に詳しく説明をしなかったときは、説明義務を果たしたとは言えず説明義務違反になりますので、取引主任者の説明義務の程度は極めて高度なものです。 ○この結果は不動産という高価で重要な物件を取り扱う以上は当然のことです。多くの購入者はその物件購入が時に一生に一度の一大事であり又事業進展の重要な要素を占める場合が多いからより誠実で且つ慎重な対応を宅建業者に求められているからです。 以上:1,214文字
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