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二次的著作物について

平成19年 2月16日(金):初稿
○平成19年2月15日、弁護士知財ネット東北地域会2月例会で、私の担当で、商事法務発行寺本振透弁護士著「ケースメソッド知的財産法」の課題62、63を報告しました。ここしばらくは2,3人しか集まらなかったところ、新人弁護士が3名加わり、8人も集まりました。法科大学院の新司法試験選択科目には知財もあるとのことで、若い弁護士には知財に興味を持つ方が増えつつあるようです。

○課題とは離れますが、二次的著作物が議論になりましたので、整理しておきます。
二次的著作物に関係する著作権法の条文は以下の通りです。
(定義)
第2条
11.二次的著作物
著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物をいう。
(二次的著作物)
第11条 二次的著作物に対するこの法律による保護は、その原著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない。
(同一性保持権)
第20条 著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。
(複製権)
第21条 著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。
(翻訳権、翻案権等)
第27条著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。
(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)
第28条 二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。


○以上の条文から二次的著作物と言えるためのポイントは、元に著作物(一次的著作物)について
①翻訳・編曲・変形・脚色・映画化その他翻案によって
②創作したもの
であり、翻案(既存の事柄の趣旨を生かして作りかえること)と創作(新しいものをつくり出すこと)です。

○替え歌を例に取れば、元歌の歌詞の一部に手を加えた程度であれば、複製の範疇であり、新しいものに作り替えられたと評価されて初めて翻案となります。複製権も翻案権も上記条文の通り、元の著作者に専有しますので、その許諾無しに行えば複製権、翻案権の侵害になり、同時に同一性保持権の侵害になります。勿論、元歌を参考にしたとしても完全に別物と評価される場合は何ら問題になりません。

○同一性保持権と翻案権の違いについては、大変難しい議論があるようです。
形式的区別としては、同一性保持権は著作者人格権として他に譲渡できないもので、翻案権は著作権であり他に譲渡できるものです。実質的区別としては、翻案は内面的表現形式を維持しながら外面的表現形式を編久することで、内面的表現形式に影響を及ぼす改変行為が同一性保持権の問題になると考えがあります。

○替え歌を作って自分だけ或いは少数の友人に披露して楽しむくらいで私的使用(30条)の範囲内であれば問題ありませんが、これを多人数の前で披露したりホームページに掲載したりすると上記著作権侵害になりますので注意が必要です。
以上:1,244文字

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