平成18年 1月16日(月):初稿 |
○平成18年1月18日(水)に九士会で個人情報保護法の概要説明を担当します。そこで本日は、平成17年12月21日更新情報で記載した病院経営と個人情報保護法の基礎と重なりますが、そのレジュメを兼ねた個人情報保護法概要についての備忘録を記載します。 ○個人情報保護法の目的は、第1条(目的)で次のように定められています。 「この法律は、高度情報通信社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大していることにかんがみ、 個人情報の適正な取扱いに関し、 基本理念及び政府による基本方針の作成その他の個人情報の保護に関する施策の基本となる事項を定め、 国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、 個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務等を定めることにより、 個人情報の有用性に配慮しつつ、 個人の権利利益を保護すること を目的とする。」 ○ポイントは「個人情報の適正な取扱い」、「個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護」することを定めるもので、これまで個人情報の適正な取扱がなされず、流用・悪用による被害が頻発してきたので、これをなくすためのルールを作りが個人情報保護法の目的です。 ○但し、個人情報保護法での規制対象は、個人情報取扱事業者と国、地方公共団体であり、一般私人間の個人情報保護に関する定めをするものではありません。私人間での個人情報漏洩による慰謝料等の損害賠償の問題はこれまで通り民法等で解決されます。しかしこの個人情報保護法成立により個人情報漏洩による民事賠償責任もこれまでよりは強化されて解釈されるようになるはずです。 ○個人情報漏洩による民事責任の問題は、H17-11-13更新情報「個人情報保護の前提-プライバシー権について」、H17-11-16更新情報「氏名・自宅住所電話番号はプライバシーか」に記載したとおりです。 ○個人情報保護法2条に個人情報の定義付けがなされていますが、ポイントだけ整理します。 ①「個人情報」とは、特定の個人を識別できる一切の情報 ②「個人データ」とは、個人情報データベースに記載された個人のデータ ③「保有個人データ」とは、個人情報取扱事業者が、開示・訂正・第3者提供の権限を有するもの ですが、②と③の区別は紛らわしいものですが、法律の構成上分けられたものです。 ○個人情報保護法で定めたルールの概要は次の通りです。 個人情報取扱事業者は、個人情報について ①利用目的の特定(15条) 個人情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的(以下「利用目的」という。)をできる限り特定しなければならない。 ②利用目的による制限(16条) あらかじめ本人の同意を得ないで、前条の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない。 ③適正な取得 偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならない。原則として本人或いは本人の了解を得た者からのみ取得に限られます。 ④利用目的の通知又は公表(18条)と変更の制限(15条2項) 個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を、本人に通知し、又は公表しなければならない。 利用目的を変更する場合には、変更前の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならない。 ⑤データ内容の正確性の確保(19条) 利用目的の達成に必要な範囲内において、個人データを正確かつ最新の内容に保つよう努めなければならない。 ⑤データの安全管理(20条) その取り扱う個人データの漏えい、滅失又はき損の防止その他の個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない。 ⑥従業者・委託先の監督 その従業者に個人データを取り扱わせるに当たっては、当該個人データの安全管理が図られるよう、当該従業者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。 個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合は、その取扱いを委託された個人データの安全管理が図られるよう、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。 ⑦第3者提供の制限(23条) ここが大変重要ですので明日の更新情報に譲ります。 ○個人情報保護法での考え方は、個人情報はあくまで当該個人のものであり、その取得に当たっては、ご本人にその取得目的をお伝えし、そのご承諾を得ることが必要であり、取得してもそれはご本人からの預かりものですから、常に正確性を保ち、ご本人の了解無い限り決して他に漏洩されないよう厳重に注意して安全に管理し、本人の問い合わせには何時でも答えられるようにして置きなさいと言うもので大変厳しいものです。 ○いわば個人情報は、ご本人からの預かりものであり、預かりものである以上は、くれぐれも大事に取り扱いなさいと言うことです。 以上:1,971文字
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