平成17年 8月25日(木):初稿 |
○久しぶりに知財の話題です。 平成17年7月21日、仙台弁護士会有志知的財産研究会の7月例会で会員Y弁護士のカップヌードル事件判決レポートをその他知的財産研究会判例レジュメの「カップヌードル事件」として追加しました。 ○意匠法に関する判例で、意匠法については7月例会でI会員の第6章意匠権侵害訴訟1~6の報告を聞いた以外全く不勉強で、上記判例についても咀嚼不十分ですが、自分なりの感想を述べます。 ○日清食品は、左のカップヌードルの容器に記載したお馴染みの「CUP NOODLE」の図柄を昭和55年当時既に意匠登録していましたが、これに対し、このような図柄の容器は公知のものであり日清食品の意匠登録は無効であるとの審決を特許庁に求めました。 ○これに対し特許庁は、この意匠は、横縞条の帯状及び文字などの図形が表されており、しかも文字もその構成態様に創作があり模様と認められる範囲のものであると審決し、文字の構成態様の創作性を基準として「模様」に該当するかどうかを判断しました。 ○ところがこの審決取消訴訟において東京高裁は、「本件意匠では、CUP及びNOODLEは、ローマ字を読むための普通の配列方法で配列されており、カップ入りのヌードルをあらわす商品名をあたかも商標のように表示して、これを見る者をしてそのように読み取らせるものであり、かつ読み取ることが十分可能とみられるから、いまだローマ字が模様に変化して文字本来の機能を失っているとはいえない。」として審決を取り消し、可読出来るか否かという文字機能の消失の有無を基準として「模様」となるかどうかを判断しました。 ○これに対し日清食品側は「文字と模様の限界は、文字として読み取れるか否かに置かれるべきでなく、創作性の有無に置かれるべきであり、仮に一部に文字が模様と認められないものがあっても、その他の部分に創作性のある模様があれば全体として意匠となるかどうかを判断すべき」として上告しましたが、最高裁は高裁判断を正当として上告棄却でした。 ○私個人としては、高裁判断の文字の機能の消失の有無を基準とする判断は余りに硬直的画一的判断であり、日清食品側の見解を支持します。 日清食品カップヌードルについては意匠法による保護がなくても不正競争防止法、著作権法による保護は可能と思いますが。 以上:953文字
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