平成17年 5月21日(土):初稿 |
○昨日は、知的財産研究会番外編として東京の若手著作権エキスパートO弁護士をお招きし、「著作権法を巡る法律問題・・・予防法務の観点から」と題して講演をしていただきました。 同弁護士は多くの著名著作権紛争事件を担当され、又T大学の講師をされ著作権法についての多くの著作を著している著作権法研究学者でもあります。 ○著作権法紛争実務経験豊富なO弁護士の話は、著作権法紛争実務経験皆無の私には、今ひとつ実感出来ないもののありましたが、著作権法を道楽として追求していく意欲を大いにかき立ててくれるものでした。 ○音楽ビジネスの世界でナップスター事件とファイルローグ事件が有名です。 ナップスター事件は、ナップスターと言うインターネットを通じて個人間で音楽データの交換を行なうアプリケーションソフトが発売して爆発的に普及し、これを全米レコード協会等が著作権侵害で提訴したものです。 ○ナップスターを利用してナップスター社が管理する中央サーバに接続し、ユーザのパソコンに保存されているMP3形式の音声ファイルのリストを送信し、これを世界中のユーザが共有することにより、互いに他のユーザの所持する音楽ファイルを検索し、ダウンロードすることができるようになります。 ○ナップスター社の中央サーバはファイル検索データベースの提供とユーザの接続管理のみを行い、音楽データ自体のやり取りはユーザ間の直接接続によって行われるものなので、ナップスター社は利用者相互の「私的使用」にすぎず著作権侵害にはならないと抗弁しましたが、敗訴しました。 ○このナップスター事件の日本版がファイルローグ事件です。ファイル交換ソフトがナップスターではなく、P2Pソフトと言うソフトで、日本MMOの管理するサーバで管理する楽曲を利用者相互間で交換が出来るものでナップスターの場合と仕組みは殆ど同じようで、日本レコード協会(RIAJ)等が使用停止と損害賠償を求めて提訴し、日本MMOは敗訴しています。 ○日本では著作権の一つとして「送信可能化権」が認められており、他人の著作物を含むファイルをネット上で誰でもダウンロード出来る状態に置けば、この「送信可能化権」を侵害したことになります。従ってファイルローグ事件で、東京地裁の「送信者のパソコンは中央サーバと一体となって情報の記録された自動公衆送信装置に当たる」として「送信可能化権」侵害を認めました。 ○私は著作権法の趣旨は「他人のふんどしで相撲を取るな」にあると考えていましたが、これを安易に適用し、著作権での縛りをきつくするとIT産業振興の障害にもなり、長期的に見れば音楽ビジネス振興の障害にもなる可能性があるようです。 著作権勉強を始めたばかりの私には学ぶべき事が山のようにあります。 以上:1,128文字
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