平成17年 1月17日(月):初稿 |
第3 争点に対する判断 1 争点(1)について 商品の形態は,必ずしも商品の出所を表示することを目的として選択されるものではないが,商品の形態が他の商品と識別し得る独特の特徴を有し,かつ,商品の形態が長期間継続的かつ独占的に使用され,又は,その使用が短期間であっても商品形態について強力な宣伝等が伴う場合には,商品の形態が,商品自体の機能や美観等の観点から選択されたという意味を超えて,自他識別機能又は出所表示機能を有するに至り,需要者の間で広く認識されることがあり得る。 これらの観点から,原告各製品の形態が,商品等表示に該当するか否か等につき判断する。 (1) 事実認定 ア 原告各製品の各部分の形状(甲3の1~3の470,8の1) (ア) 原告各製品の各部分の形状は,「原告らの主張」のとおりとして、特に,原告各製品においては,以下の形態上の特徴を有している。 aリューズプロテクターの形状について, 形態上の特徴がある。 b ケース及びベゼルの形状について, 原告各製品はかなりの厚みを有しているという点,ケースの大きさがいずれも40ミ リメートル以上である点において,形態的な特徴がある。 イ 販売状況等 (ア)原告らは,平成10年から日本国内でのパネライ製品の販売を開始した。平成10年9月以降の,リューズプロテクター付きパネライ製品の販売数量及び金額は以下のとおりである(甲7)。原告各製品は,原告製品1を除き,被告らが被告各製品の製造及び販売を開始する平成14年までに,既に販売されていた(原告製品1は,平成14年以降に販売が開始された。甲3の382,3の470)。 平成10年9月~平成11年3月 298本 7080万円 平成11年4月~平成12年3月 552本 1億4137万2000円 平成12年4月~平成13年3月 1260本 3億0604万2000円 平成13年4月~平成14年3月 2295本 5億8308万3000円 平成14年4月~平成15年3月 3067本 9億0939万6000円 平成15年4月~平成16年2月 3627本 11億4200万4500円 合計 1万1099本 31億5269万7500円 (イ)スイス時計協会及び時計美術宝飾新聞社が共同で行う,全国の時計販売店に対するアンケート調査(毎年1月から6月までの上期と通年の2回行われる)では,≪中略≫時計専門店や百貨店でよく売れている,又はめざましく販売が増えている製品の一つであることが報告されている。 ウ 雑誌での紹介 平成10年には,6月以降,パネライ製品が雑誌に22回取り上げられ,≪中略≫、 平成11年には,雑誌に42回掲載され,≪中略≫、平成12年には,パネライ製品の雑誌掲載回数は66回、≪中略≫、平成13年には,雑誌において107回掲載され,≪中略≫、平成14年は141回,平成15年は91回となり,ウェディング雑誌などにも紹介されるようになった。 これらの雑誌の記事や広告においては,説明とともに,パネライ製品を正面あるいは側面から写した写真が掲載され,リューズプロテクターの部分を拡大した写真が掲載されることもあった。 以上:1,526文字
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