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賃貸借-賃料未納者対策としての和解例

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平成17年 7月 2日(土):初稿
○アパートや賃貸マンションを何区画も持っている方から、賃借人が賃料を滞納しているので明渡の訴えを出して欲しいという依頼は多数あります。賃借人の多くは裁判所に出頭して、支払遅滞分を確実に支払うので今後も入居させて欲しいと訴えます。

○この場合、賃借人の経済状態を確認した上で、場合によっては保証人を追加し、利害関係人として裁判に参加して貰い、賃料遅滞分の今後の分割支払条件を取り決め、更に今後の賃料を含め、1回でも支払を怠った場合、賃貸借契約は自動解除になり、賃借人は直ちに建物を明け渡すとの内容の和解条項を定めて、和解することが多くあります。

○具体的には概ね次のような和解条項になります。
①賃借人は平成17年7月1日現在未払賃料として金60万円の支払義務があることを認め、これを平成17年7月から毎月4万円宛15回に分割して支払う。
②賃借人は平成17年8月分以降月額賃料6万円を前月末日限り支払う。
③賃借人が未払賃料分割支払金及び賃料の支払を1回でも怠ったときは本件賃貸借契約は何らの催告無く当然解除により終了し、賃借人は直ちに本件建物を賃貸人に対し明け渡す。
④賃貸借終了後明渡に至るまで賃借人は賃貸人に対し月額金12万円の割合による賃料相当損害金を支払う。


○上記は、毎月6万円の賃料を10ヶ月分滞納し、明渡の訴えを提起した場合の和解例であり、賃借人は今後15ヶ月間は賃料遅れ分を毎月4万円と本来の賃料6万円の10万円を支払わなければならず、この10万円の支払を1回でも怠ったときは賃貸借契約は自動解除となり、直ちに明渡義務が生じます。

○賃貸借終了後は明渡完了まで毎月賃料の倍額金12万円を賃料相当損害金として支払うとの条項を付けるのは早期明渡実現のためのプレッシャーとするものです。

○10ヶ月も賃料を滞納し、速やかに挽回出来ない場合は、通常直ちに明渡せとの判決を得ることも出来ます。
しかし判決を取っても賃借人が開き直って自発的に明渡をせず賃料を支払わない場合、強制執行をかけるしかなく、強制執行の場合、明渡実現には、荷物運び出しの人件費、売却処分費用等を賃貸人が負担しなければなりません。

○勿論、これらの費用を賃借人に請求は出来ますが、このような賃借人は支払不能状態で先ず回収できません。
そこで特別の事情がない限り、賃借人の願いを入れ、賃貸借を維持して、細く長く回収することを試みるのが、上記の和解です。
(この話題、後日に続けます。)

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