以下は、仙台弁護士会の会報平成3年○月号に掲載した記事を加筆訂正したもの後半です。
■AVルーム活用方法
私はこの防音AVルームを単に映画だけの部屋に終らせたくなかった。3台のカメラと編集用デジタルミキサーを設置し、映像画面を切り換えながら、又LD等の映像と合成しながら録音・録画の出来るレコーディングスタジオとしての機能も持たせた。
このミニスタジオに、最多10名程の聴衆を集め、仙台や東京のプロのフラメンコギタリスト、あるいは県内のプロ歌手、友人のジャズバンド等のミニコンサートを開き、その演奏をレコーディングした。そのテープは私の貴重な財産である。
又パフォーマンス研究会と称して、10名程の仲間で毎月一回、自己紹介・各種挨拶・ロールプレイング等のテープに記録しながらの訓練や、映画鑑賞して批評し合うなどの活動を1年間程続けた。
平成元年から活動を始めた私のAVスタジオでは、当初はこのように色々試みた。しかし、ここ2年程は面倒なことが億劫になり、手っ取り早く楽しめるカラオケボックスと化してしまった。
■AVルームのカラオケボックス化
私は平成元年の初め頃までは、決して人前でカラオケを唄うことはなかった。それがAVスタジオの完成後、カラオケに凝り始め、ここ1、2年はカラオケが最高のストレス解消剤となった。仕事が終り、夕食までの30分程をカラオケタイムとして一人我がカラオケボックスにこもり、最も尊敬する北島三郎氏のド演歌を中心に唸っている。大声を張り上げての北島演歌は、どんなにムシャクシャした気持ちも不思議と鎮めてくれる。
友人が集るとすぐカラオケパーティーとあいなる。カラオケボックスは格好の接客道具である。カメラ映像付きレコーディングを当初は恥らっている客人も、やがてカメラの前で歌手気取りで唄うようになる。録画された自己の厳しい現実の再現にも、めげずに楽しんでくれる。
1年程前浅草の夜店でチョンマゲや桃割れかつら、三度笠に合羽まで買込み小道具として置いている。喜んで使用する人も多い。
月に1回程、演歌愛好会と称してカラオケ好きの仲間が集り、時にプロの講師を招いて練習している。
しかし肝心の私の唄は、いっこうに上達しない。我が女房殿は、高校・大学と合唱部に籍をおき発声の訓練を重ねており、普通より多少は上手い。彼女は私が一人演歌を唸っているカラオケボックスには、決して、入ってこない。私の唄を聞くとストレスが溜まるという。そして、私に本当に上達したいなら、クラッシックの声楽の先生から発声法を学ぶのが一番だとのたまう。
さすがに、いかに凝り性の私も、そこまでは至ってない。他人がどう思おうが、唄っている自分が楽しければよいからである。
■AVルームの効用と今後の期待
バブルの泡と共に育った我がAVスタジオは、バブルが消えて、存続が危惧された時もあった。しかしどうにか生き残って、時にミニシアターとして、時にミニミニコンサートホールとして、又近頃はカラオケボックスとして私に楽しみを与えてくれる。
バブル崩壊の大打撃で、多額の借金が残り、苦しい生活が続いている。それでも、AVスタジオへの分不相応の投資に悔いはない。
私は生来、内気な引っ込み思案で人前で思うように話も出来ず、まして人前でカラオケを唄うなど全く考えられなかった。そんな私が、人前でもどうにか話しも出来、又カラオケを唄うことが出来るようになったのは、AVスタジオのおかげである。
バブル崩壊以後、AVスタジオのグレードアップは出来なくなったが、借金が減って少しは生活が楽になったら、もう少し発展させたいと懲りずに考えている今日この頃である。
(平成3年1月記)
平成18年11月現在の自宅AVルーム
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