平成23年 6月18日(土):初稿 |
○平成22年12月18日記載「弁護士会館有料相談激減-弁護士も淘汰時代突入実感」を続けます。 平成22年12月から、半年ぶりで平成23年6月17日に午前10時から2時間、午後1時から3時30分まで2時間30分合計4時間30分、弁護士会館相談室に待機して、仙台弁護士会法律相談センター有料法律相談担当でした。ここ数年、この法律相談センターへの有料法律相談に訪れるお客様数が激減していることを繰り返し記載してきましたが、今回は、無料震災相談2件と、有料法律相談5件の7件もあり、ちと意外な感がしました。 ○もっとも有料法律相談でも、結論が簡単で10分程で終わった場合は相談料5000円は返還するとの、サービス業としては当然の措置が執られるようになり、5件の内1件がこれに該当して5000円を返還しましたので、結局、有料法律相談は4件に留まりました。4件の内訳は男女問題2件、親子問題2件のいずれも親族・相続法関連問題で、全て相談レベルで止まり事件として受任出来るようなものではありませんでした。平成22年12月の担当のときも有料相談は3件でいずれも相談レベルに止まるものでした。 ○平成15年に仙台弁護士会館が出来て数年間は、会館ロビーは相談者で溢れ、有料法律相談担当時は、多いときは10件以上の相談があり、内数件は事件として受任することもありましたが、平成20年代に入ってからは、このようなことは無くなり、会館ロビーも閑古鳥が鳴く状況になりつつあると感じていました。この状況になった最大の原因は、平成18年4月に設立された法テラス宮城の存在です。 ○平成18年設立当初、2、3年程は法テラス宮城の知名度不足もあり、さほど仙台弁護士会法律相談センターへの影響もなかったようですが、法テラスの宣伝・広告活動でその知名度が上がり,その利用度が高まる程に相談者は法テラス宮城に流れその分法律相談センターの相談者が減り続け、平成20年代に入ると、いわばそれまでの法律相談センターへお客様の多くが、法テラス宮城に奪われた状況になり、仙台弁護士会会館ロビーの閑古鳥状態になったものと推測しています。 ○法律問題を抱える方々の絶対数が変わらず、また、それを扱うのは弁護士しかいないとすれば、結局は法テラスで相談された方も弁護士のお客様となり、法テラスが法律相談センターのお客様を奪ったとしても、入口が異なるだけで弁護士の扱う事件数は減らないのではないかとの思われる方も居るでしょう。しかし法テラス経由のお客様は殆どが法律扶助による弁護士費用援助制度を利用し、法テラスの基準による低額の弁護士費用となるため弁護士の売上には相当影響します。 ○刑事事件は3年前に引退して平成23年現在の基準は判らず、多少異なっているかも知れませんが、平均的事件を私選で受任すると着手金が20~30万円、報酬金も同様で、全部で50~60万円のものが、国選ではおそらく10万円前後しか貰えません。これほど極端ではありませんが、民事事件も、法テラス経由事件はいわば国選事件のようなもので、その弁護士費用は私選で受けた場合に比較して相当低くなり、弁護士の売上に相当影響します。 ○弁護士業務は、合格者大量増員と宣伝・広告自由による競争激化に加えて、司法書士・行政書士等隣接資格者への業務解放、これに法テラスによる価格ダンピングとのいわばトリプルパンチを受けている状況で、10数年までの独占・寡占・競争排除の3大特権で厚く守られていた時代に比べると過酷とも言える状況となっています。 ○私は、「平成17年度定期総会-日本司法支援センター問題」で、「日本司法支援センターのスタートによりむしろ民事事件が同センターに集まり、弁護士大量増員で市場開拓が必要なのに更に市場を同センターに奪われ益々弁護士業務が大変になることを心配しております。 」と記載していましたが、正にその通りの状況となっており、この弁護士の冬の時代を如何に生き抜くか色々対策をとらねばならないところ、何をどうすべきかなかなか具体策が浮かびません(^^;)。 以上:1,670文字
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