平成21年11月18日(水):初稿 |
○平成21年11月20日(金)松山全日空ホテルで開催される第16回業革シンポ第1分科会「共同法律事務所のマネジメント戦略」で、急遽私が基調報告役をすることになった「収支共同型法律事務所」と「弁護士法人」のポイントまとめ備忘録です。 1.収支共同型法律事務所 定義と目的 定義;複数弁護士が収入も経費も共同化して経営する事務所 目的;収入の共同管理と配分の平準化により相互補完による収入の安定化 配分の平準化とは、収入の多い者が少ない者に自分の収入を分け与えるという意味、この実現にはパートナー相互間の強い信頼関係が必要 利益分配 配分方法;①固定基準型;パートナー間で予め合意した一定の基準に従って分配 ②毎年協議型:毎年パートナー間の協議により分配割合を変更 配分基準;事務所への出資金額、売上貢献度(固有依頼者数、事件誘因力等)、労務提供程度、経験等 利点 収入安定化-相互補完 業務代替性確保-繁閑や得意・不得意等によって,業務を相互に代替 経営合理化-事務所全体としての売上向上、コスト節減等の意識が高まる 専門化への対応がしやすくなる 税務申告 経営者をある特定の1人にして他は全員給与所得者とするケース 利益分配金とそれに対応する経費を各人に振り分け,それぞれが事業所得として確定申告するケース 財務・経理管理 原則として経営弁護士収入全部が共同管理、但し一定収入(講演料・原稿料等)の除外合意可能。 事務所一体性確保のため経理は全メンバーに公開が望ましい 財務・経理処理基準明確化が必要 売上目標と支出抑制数値公開による経営合理化 業務管理 パートナー規約制定の必要性-事務所設立の目的・理念について文書で確認しパートナー同士の相互認識の共通化 パートナー会議による意思決定 勤務弁護士・事務局員は、経費共同型と同様 専門化 配分平準化による専門化の適合性-専門家育成に好都合 専門分野合理化による採算性向上 専門性のマーケッティング活用 リタイアと事業承継 将来の事務所承継を前提に,いずれ引退を考えている弁護士が,事務所を承継させる目的で後継者とパートナーシップを組み,後継者を育成しながら漸次事務所を承継させる 2.弁護士法人 定義 弁護士法30条の2以下の規定に基づいて設立された事務所の経営形態 利点1-法人格 事務所そのものに法人格を持つことで対外的信用,ブランド力の向上に寄与し、事務所の構成員に変更があっても事務所自体は継続的に存在し、事務所の安定的存続と業務の継続性確保 利点2-従たる事務所設立可能 利点3-持分処分可能化 構成員変更の場合の業務承継円滑化と、事務所組織価値について取引対象化が可能 財務管理 法人格取得により弁護士法人自身の資産所有可能、但し事件責任は無限責任 収益配分は全員が給与所得形式、配分方法は年度当初規定に拘束、利益は内部留保 業務管理 収支共同事務所と同様 制度問題点と課題 設立手続や受任事件処理手続も煩瑣になるが、その割りに税制上メリット少ないとのことで、現時点では余り活用されていない 以上:1,235文字
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