平成19年 7月23日(月):初稿 |
○「事業者の任意債務整理事件に取り組むきっかけ」に記載した通り、弁護士1年生の時、負債総額約5億円の事業倒産任意整理事件を先輩弁護士が遂行する過程を共同代理人として見聞する機会があったことをきっかけに、私自身も、事業倒産の任意整理事件に積極的に取り組むようになりました。 ○その後、任意整理事件に取り組み自分なりに試行錯誤を繰り返し、そのノウハウをまとめたのが、「任意整理の基本」以下に記載した記述であり、「事業者債務整理任意整理チェックシート(未完成)」です。チェックシートは今後も気づく毎にデータを追加していきます。 ○私の場合事業者倒産事件は原則として任意整理方式で行いますが、これまで取り扱った事件が全て任意整理で行ったわけではなく、割合から言うと10件に1件もありませんが、自己破産手続に至った例も何件かあります。 ○任意整理が出来ず自己破産手続を取るのは、一言で言うと、「官の力を借りる必要性がある」場合に尽きます。その第一の典型例は、暴力団等遵法意識の乏しい債権者或いは倒産に至ったことに怒り狂って任意整理への協力が得られない債権者が混じっている場合です。この場合は、国家権力が背景にある破産管財人によって整理を進めて貰います。 ○第2の例は、第1と裏腹の関係にもなりますが、倒産事業経営者との間に信頼関係が持てなくなる事情がある場合です。信頼関係が持てない場合、受任しないことが多いのですが、紹介者の関係或いは混乱の回避等から受任する場合、最初からこのケースは任意整理は出来ませんと断り、破産手続を取ります。中には任意整理の過程で信頼関係が持てないと判断した場合、途中で任意整理から破産手続に切り替える場合もあります。 ○第3の例は、任意整理方式をとっても代理人弁護士がやることがない場合です。債務整理は売掛金回収、不動産売却等の換価処分が弁護士の重要な仕事になりますが、売掛金が全くなく、不動産も抵当権者が多すぎて到底任意売却は不可能な場合などは弁護士がやることがありません。この場合、受任しないことが多いのですが、混乱の回避、ケジメをつける等の理由で受任せざるを得ない場合、破産手続を取ります。 ○特殊な例では、一時的に事業を継続しなければならない場合、継続のために特に仕入債権者の協力が必要でその協力を得るために官の力が必要なために破産手続を取った場合もありました。具体的には養鶏場の倒産事件で餌の供給業者との事前打ち合わせで破産手続で今後の餌供給代金を共益債権と認めない限り供給できないと言われて破産手続を取った例などがあります。 以上:1,064文字
|