平成18年 3月16日(木):初稿 |
○平成18年3月15日は九士会3月例会でした。九士会は平成7年に「七士会」としてスタートし、翌平成8年に「九士会」となり、以来殆ど変わらないメンバーで10年間に渡って継続している「~士」と呼ばれる専門家の集団です。 ○昨日は損害保険外務員で東京海上日動火災の代理店有限会社テイクイットを経営されている小林宏行氏の「最近の保険動向」の話し、一級建築士と宅地建物取引主任者で株式会社シマヅを経営されている嶋津重氏の「姉歯元建築士による耐震偽造設計に関する私的考察」と題する話しを各1時間ずつして頂きました。 ○特に印象に残ったのは嶋津氏の「姉歯元建築士による耐震偽造設計に関する私的考察」で一級建築士が置かれている問題を判りやすく解説頂き、我々弁護士の将来も多いに考えさせられました。 ○後日嶋津氏の了解を得てこのHPに何らかの形で掲載しますが、詳細なレジュメを準備され、その中の一部、 「2.建築物に対する建築士の役割と問題点」で、 Ⅰ.建築物はある意味一つの芸術である。 Ⅱ.建築士の社会的地位が他の専門職と比べてあまりにも低い。なぜなら、建築士と呼ばれる数が多くその質も低い。(設計者、建築施工者、建築確認業務担当者、補償業務関係者等) (中略) 「3.偽装とその問題点に対する私的考察」で 1.設計技術者の地位の低さ。ひいては設計料の低さ。原因はPCの発達、景気低迷による公共事業の減少、地価の低落によるマンション等デベロッパーの台頭。 2.マンション等デベロッパーやコンサルタント等の過度の経済設計に対する要求。 3.景気低迷による熟練技術者のリストラ。それがもたらす技術者育成過程の欠落。 4. 技術者のモラルの低下。 5. 計算をPCの構造計算ソフトに頼りすぎている。上記で述べ たようにソフトに数字を入力するだけで結果が出てしまい構造計算を熟知していなくとも出来る。 (中略) と述べられています。 ○上記の「建築士の社会的地位が他の専門職と比べてあまりにも低い。なぜなら、建築士と呼ばれる数が多くその質も低い。」との説明が衝撃でした。建築士には、一級建築士、二級建築士、木造建築士の三種あることろ、一級建築士だけで毎年6000人資格取得者が増え、現在20数万人も居るとのことです。 ○その結果、設計技術者の地位が低くなり、立場が弱くなったためデベロッパーやコンサルタントからの無理な要求にも従わざるを得なくなる構造となっているようです。勿論、嶋津氏は、たとえ仕事を失っても不法な要求には絶対に従わない方針ですが、数多い建築士の中にはモラルを失ってお金のために無理無体な要求に従う者も出て来ておりその典型が姉歯元建築士です。 ○我々弁護士も今後大量増員が決まっており、それによる地位低下とモラル低下の危険性が高まるわけで、それをどのようにして防ぐかが大きな課題となります。 以上:1,166文字
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