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筆界特定制度の活用例-時効取得した土地の筆界確定

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平成18年 4月 3日(月):初稿
H18-01-19更新情報「筆界特定制度について」では、地方裁判所での境界(筆界)確定の裁判になると弁護士費用、測量費用が大変なので、当事者自身が低廉な費用で境界を定めて貰うには平成18年1月から施行される法務局主催「筆界特定制度」の方が良いとお薦めしますと記述しました。

○先般、日弁連主催の「筆界特定制度」研修会で、我々弁護士にとって有効な「筆界特定制度」利用方法を伝授されました。それは、表題記載の「時効取得した土地の筆界確定」です。

H18-01-19更新情報「筆界特定制度について」にも記載しましたが、土地争いは、第一次的には筆界の争いですが、筆界が自分の主張通りでない場合は、自分が使ってきた土地の範囲について時効取得などを理由とする所有権を主張して争う例が殆どです。

 ○例えば甲さん所有6番の土地と乙さん所有5番の土地の筆界について、甲さんはイ~ロ、乙さんはA~Bが筆界だと主張して争いがあった場合、甲さんは、仮に筆界がA~Bだとした場合は、イ、ロ、B、A、イの各点を直線で結んだ範囲内の部分(以下、係争地と言います)は、甲さんが20年以上自分のものとして使用しており時効取得が成立し、その所有権は甲さんにあるので、5番の土地から係争地を分筆して乙さんから甲さんに所有権移転登記手続をせよと主張します。

○甲さんと乙さんの争いが裁判になって、5番の土地と6番の土地の筆界は、乙さんの主張通りA~Bと定められ、但し係争地は甲さんの主張通り時効によって甲さんが取得してその所有権が甲さんに認められ、乙さんは5番の土地の内係争地部分について乙さんから甲さんに所有権移転登記手続をせよとの判決が出たとします。

○乙さんは判決に従って自ら5番の土地から係争地を分筆して甲さんに所有権移転登記手続をすることは先ずありませんので、甲さんが判決書によって乙さんに代わって5番の土地から係争地の分筆登記手続をしなければなりません。

○判決書で係争地が甲さんの所有地と認められているからこれだけで分筆登記手続が出来そうなものですが、残念ながら、この分筆登記手続を行うためには5番の土地についての正確な測量図面が必要で且つその測量図に記載された筆界について周辺土地所有者から同意を貰わなければならず、乙さんが5番の土地についての測量に協力することはあり得ず、測量図面を作ることが出来ないため、結局、いくら判決を取っても所有権移転登記手続が出来ないことが殆どでした。

○ところが今般「筆界特定制度」を利用し係争地と5番の土地の筆界を定める申立をすることによって、法務局の職権で5番の土地の分筆登記手続に必要な正確な図面を作ることが出来るようになり、分筆登記手続も可能になりました。
これが「筆界特定制度」の有効利用方法の一つです。
以上:1,147文字

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